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専門家からのメッセージ

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記事一覧

子どもとの過ごし方 (#分でわかる シリーズ)

山梨大学の山縣然太朗といいます。公衆衛生学の専門家です。 現在、2回目の緊急事態宣言が発出されています。前回とは異なり、多くの学校や幼稚園、保育園が開かれています。でも、今回もまた、世の中の物々しい雰囲気のために、お子さんが強い精神的なストレスを感じたり、不安定になったりしているかもしれません。そこで、「子どもとの過ごし方」について、お伝えします。 前回のnote記事で、「#秒でわかる」と銘打ったのですが、「秒は無理」というご意見を頂き、反省しました。そこで、「#分

新型コロナの病原性とワクチン:変異株の影響は?

有志の会の河岡です。 12/30付note記事「新型コロナウイルスの「変異」とは? 」では、「変異」の意味や、感染力や病原性について、お伝えしました。 今回は、新型コロナの病原性とワクチンの効果について、変異株が与える影響も含め、いまわかっていることをお伝えします。 Q. 新型コロナウイルスの病原性は強くなっていますか? 最近、重症化する患者が増えており、ウイルスの病原性(※1)が強くなっているのではないかというご心配があるようです。 ※1 病原性とは、病気を引き起

20代~50代の皆さまへ:今、実行・拡散してほしいこと

変更履歴:文言変更「いつも会っている人」→「同居人」(2021年1月20日 21:57) 有志の会の尾身です。 どうか、以下のメッセージをお知り合いの方や他のSNS等にも拡散していただければ、本当にうれしいです。  ◆◇◆◇◆ 皆さん既にご承知のように、現在、緊急事態宣言が発出されており、日本の医療と経済は深くダメージを受けつつあります。すでに、失業率は高くなっていますが、感染拡大が収まらないと、さらに影響が広がります。また、医療では、例えば骨折や盲腸(虫垂炎)になっ

全世代の皆さまへ ~2021年に向けて~有志の会からの感謝と決意のメッセージ

有志の会の尾身です。2020年4月にこの活動を発足させて以降、有志の会メンバーは、それぞれの持ち場で対策に尽力しつつ、不定期ながら情報発信に努めてきました。皆様には私たちの活動をご支援くださり、本当にありがとうございます。 私が4月5日に初めて書いた記事で、「日本がこれまで、諸外国に比べて感染拡大を緩やかに抑えてこられたのは、皆様のご協力があったからこそです」と述べました。 私は今も全く同じ気持ちを持っています。有志の会を代表して、これまでの皆様のご協力に深く感謝を申

新型コロナウイルスの「変異」とは?

有志の会の河岡です。 変異した新型コロナウイルスが海外で見つかったとの報告がありましたが、「変異」とはどのようなことなのでしょうか。ここでは、感染力や病原性について、いまわかっていることをお伝えします。 Q. イギリスや南アフリカで、変異した新型コロナウイルスが見つかっています。変異とはどういう現象なのでしょうか? A. ウイルスが増殖するときに、遺伝情報がコピーされますが、変異とは、コピーされた内容が元の情報から変化することを意味しています。変異によって、常にウイルスの

新型コロナにおける入院措置の対象が変わりました

専門家有志の会の齋藤です。 「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令」が公布されました(10月24日から施行)。  これにより、新型コロナの患者さんに対しての「感染症法による入院措置」(以下、入院措置)の対象が、今までよりも限定的になります。 今回は、入院措置の対象の変更点について、ポイントをお伝えします。 (本記事は、私の個人note記事(10月15日)の要約版です。よろしければ、元の記事もご覧ください。) 入院措置の

無症状の方にPCR検査を拡大することの問題は?

専門家有志の会の中島です。 PCR検査の対象を無症状の市民にも拡大すべきとの声をよく聞きます。 しかし、感染症の危機管理の立場からすると、このアイデアには多くの問題があります。ここでは、感染防止対策と検査の考え方について、ぜひ知ってもらいたいポイントをお伝えします。 (本記事は、BuzzFeedの岩永記者による取材記事 ・10/7更新の要約版となります。よろしければ元の記事もご覧ください) 検査対象者の3つのカテゴリー 政府に対策を助言する専門家組織「新型コロナウ

指定感染症とは?

専門家有志の会の齋藤です。 最近、新型コロナの「指定感染症」の運用の見直しに向けた動きについて、報道がなされています。 そもそも、「指定感染症」とは何でしょうか。この記事では、感染症法における「指定感染症」の意味などについて、あらためて皆さんに知っていただきたいことをお伝えします。 (本記事は、私の個人note記事(8月26日)の要約版となります。よろしければ元の記事もご覧ください) 指定感染症とは? 新型コロナは、感染症法という法律の中で、「指定感染症」に指

リリースから2か月:日本型「接触確認アプリ」COCOAの今

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターの藤田卓仙です。 これまでの記事では、日本の「接触確認アプリ」の特徴と「プライバシー保護の仕組み」についてお伝えしました。今回は、「接触確認アプリ」の現状と今後に向けた課題についてお伝えします。 ※ 内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策テックチームでは、「接触確認アプリに関する有識者検討会合」を5月9日から開いており、私はそのメンバーでもあります。ただし、ここでの説明はあくまで個人の立場からのものであり、公式の見解ではありませ

日本型「接触確認アプリ」はプライバシーを保護してくれるの?

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターの藤田卓仙です。 前回の記事では、日本で導入する「接触確認アプリ」の特徴についてお伝えしました。今回は、「プライバシー保護の仕組み」についてお伝えします。 ※ 内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策テックチームでは、「接触確認アプリに関する有識者検討会合」を5月9日から開いており、私はそのメンバーでもあります。ただし、ここでの説明はあくまで個人の立場からのものであり、公式の見解ではありません。  日本型「接触確認アプリ」は、

日本型「接触確認アプリ」ってどんなもの?

はじめまして、世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターの藤田卓仙です。 5月25日、安倍首相が緊急事態宣言の解除を表明されたとき、新型コロナの「接触確認アプリ」の導入について触れられていました。 日本型の「接触確認アプリ」とは、どのようなものでしょうか? この記事では、「接触確認アプリ」について、諸外国の状況や、私も参加している政府の検討会※で議論してきた内容をお伝えします。 ※ 内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策テックチームは、「接触確認アプリに関する有

緊急事態宣言の解除で何が変わるの?

専門家有志の会の齋藤です。5月25日に、総理大臣から、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を解除するという発表がありました。 ここまで感染拡大を抑制する事ができたのは、市民の皆さまの努力の賜物です。しかし、世の中から新型コロナウイルスが消え去ったわけではありません。いわゆる「第二波」への備えが欠かせません。外出自粛や施設の使用制限なども、経過をよく見ながら、段階的に解除していく必要があります。 では、緊急事態宣言の解除で何が変わるのでしょうか? (本

新型コロナの治療薬の注意点は?

今日は「治療薬の開発等について」お話しします。これは、専門家会議による4月22日付の提言で、私(有志の会、大曲貴夫)が、もっとも大事だと思うポイントです。 いまのところ、コロナには有効な治療薬がありません。それはどういうことなのか。「みなさんに誤解なく理解してもらいたいこと」を、お話します。 コロナ治療薬について知るべきポイント ・治療薬は、既存の薬を例外的に使用している ・あわせて治療薬の研究を進めている ・やみくもにサプリや薬を試すのは「危険」 ・治療法は主治医とよく

濃厚接触者の定義から私たちが学ぶこと

専門家有志の会の和田です。 「濃厚接触者」の定義が、新たに「患者さんがコロナが疑われる症状を示した日の2日前から、患者さんとの距離が1m以内で、マスクなどで口元が覆われていない状態で15分以上会話した人」と変わります。 言い換えると、「1m以内」「マスクなし」「15分以上会話」した相手が、2日以内にコロナの症状を示したら…あなたも濃厚接触者です。 「濃厚接触者」とは、保健所が健康観察の対象とする人のことです。その定義が4月20日付けで変更されました。 この記事では、その