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リリースから2か月:日本型「接触確認アプリ」COCOAの今

世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターの藤田卓仙です。

これまでの記事では、日本の「接触確認アプリ」の特徴「プライバシー保護の仕組み」についてお伝えしました。今回は、「接触確認アプリ」の現状と今後に向けた課題についてお伝えします。

※ 内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策テックチームでは、「接触確認アプリに関する有識者検討会合」を5月9日から開いており、私はそのメンバーでもあります。ただし、ここでの説明はあくまで個人の立場からのものであり、公式の見解ではありません。

日本型「接触確認アプリ」COCOA(ココア)の導入について

6月19日に日本の新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOA(COVID-19 Contact Confirming Application)がリリースされました(8月18日現在、アプリは1.1.2というバージョンのものが最新です)。COCOAのダウンロード数は、8月17日時点で、のべ約1,364万件となりました。また、陽性という判定結果の登録件数は287件となっています。COCOAを通じた接触通知によって陽性者が見つかったという事例の報道もなされています。

以前の記事で、厚生労働省が整備している新型コロナウイルスの感染者情報の管理システム(HER-SYS)と連動させる予定とお伝えしました。現在は、保健所から陽性と判定された方に連絡する際、その管理システムと連動するかたちで、本人に処理番号を通知しています。また、スマホ等をお持ちでCOCOAを利用していない方には、ダウンロードや処理番号の入力を依頼しています。

ただ、COCOAのダウンロード数に比べて、陽性の登録件数が少ないように見えます。それは、前回の記事に書いたように、COCOAへの陽性という結果の登録は、強制ではなく、本人の同意をいただいて登録してもらう仕組みになっていることも影響しているかもしれません。

海外の動向について

では、日本と同じように、本人の意思でアプリを利用している国の状況をみてみましょう。
日本とほぼ同時期の6月15日に、日本と同じくAppleとGoogleの仕組みを利用した接触確認アプリ「Corona-Warn-App」を導入したドイツでは、8月4日時点で国民の2割以上がダウンロードしており、陽性者との接触通知が2000件以上届いています。一方で、AppleとGoogleの仕組みを利用せずに独自のアプリを開発したフランスでは、普及がなかなか進んでいません。
日本は、最初の出遅れはありましたが、それなりに順調な普及と言えるかもしれません。

イギリス・オックスフォード大学の研究では、国民の6割程度が使用すれば、ロックダウン(都市封鎖)を行うのと同等の感染抑止効果があるとされていますが、これはアプリ導入の目標値というわけではありません。そもそもスマートフォンの普及率という限界もあり、必ずしも6割に届かないと、意味がないという訳ではありません。

導入率が高ければ高いほど良いのですが、例えば陽性者がほぼいない地域では導入率が低くても大きな問題はありません。逆に、感染が拡大している地域の飲食店やイベント会場など、陽性者がいる可能性が高い場所では、なるべく多くの利用が望まれるでしょう。

COCOAのさらなる普及に向けて

任意での登録を進めるためには、政府によるしっかりとした周知広報が必要になります。ドイツで普及が進んでいる理由として、周知広報が充実していることが挙げられており、日本でも国民に理解してもらえるよう、説明を行っていくことが求められます。

また、COCOAを導入するメリットを増すことも大切です。現在の主なメリットは、日常生活で、どれくらい他人と接触をしたかの変化を意識できることにあります。この接触の変化をもっと具体的にわかりやすくするために、一日の接触数をアプリ上で見えるようにすることも、今後のCOCOAの更新では考えられるでしょう。
たとえば、山梨県では、COCOAによって濃厚接触者と判明した場合、必ずPCR検査を受けられるようにする取り組みが行われています。各都道府県の検査のキャパシティの問題はありますが、なるべく検査が受けられるようにすることで、ひとりひとりの必要な対応につながるのではないでしょうか。

さらに、ホテルや店舗で、COCOAをダウンロードしている場合に割引をするという取り組みをしているところもあります。そういった民間での取り組みも広がれば、COCOAの普及につながるかもしれません。

最後に

世界、そして日本の感染の状況はなかなか収束に向かっていません。接触確認アプリは、このような状況のなかで、少しでも安心して外出するための有効なツールとなりえます。
しかし、COCOAだけで感染を抑え込めるものではありません店舗ごとのQRコードを含めた記録の仕組みや、新たなテクノロジーともうまく組み合わせることが大切です。
また、感染防止のためには、手洗いやマスクの着用、三密(密閉・密集・密接)を防ぐといった基本的な対応をしっかりすることも、忘れてはいけません。COCOAで接触の通知が来たとしても、そのときにお互いにマスクをしていたかどうかといったことが感染のリスクに大きく影響します。
引き続き、日常生活の中で、ひとりひとりができることを続けていきましょう。

<より詳しく知りたい方へ>

■厚生労働省 新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application
■厚生労働省 接触確認アプリ利用者向けQ&A
■厚生労働省 新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS):Health Center Real-time information-sharing System on COVID-19
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