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感染防止対策と社会経済活動を両立させるために

政府の基本的対処方針(5月25日更新)や都道府県向け事務連絡(5月25日付)で示された「移行期間」は、段階的緩和の3つ目のステップに入りました。外出自粛やイベント開催の制限が少しずつ緩和され、徐々に社会生活を取り戻しつつあります。

しかしながら、都市部を中心に、再び感染者数が増えています。そこで、ここであらためて、これまでの記事でお伝えしたことの更新点などを、お伝えします。

この記事でお伝えしたいこと 
・基本的な感染防止策を続けよう 
・PCR検査と抗原検査は組み合わせて活用されている
・マスク着用時の熱中症に注意
・運動時、人と十分な距離が取れる時はマスクをはずそう

警戒する心は忘れずに

社会経済の活動レベルは上がりましたが、新型コロナが収束したわけではありません。地域によっては、ふたたび感染者が増えるきざしも見られます。これからも、感染拡大に注意しながら、新型コロナとうまく付き合うことが大切です。引き続き、以下の感染防止策を心がけてください。

日常生活の中で、身体的な距離をとる
・3密(密集、密接、密閉)を避ける
・手洗いをする
・近距離で人と接するときはマスクをつける

さまざまな業界団体が、感染防止対策をしながら活動するためにガイドラインを定めています(新型コロナウイルス感染症対策分科会(第1回)7月6日(参考1)「業種別ガイドライン等の策定・実施」 )。しかしながら、ガイドラインを遵守していない、もしくは取り組みがうまくいかずに感染拡大につながる例も見られます。ガイドラインを守った、信頼できる事業者を選ぶようにしましょう。 

新型コロナの検査について

これまでの記事で、PCR検査、抗原検査抗体検査などについてお伝えしてきました。現在までに、変わったポイントをいくつかお伝えします。

①:PCR検査
PCR検査は、鼻やのどの奥のぬぐい液に加えて、発症から9日目以内であれば唾液でできるようになり、7月17日に無症状の方も唾液での実施が認められました。

②:抗原検査
鼻やのどの奥のぬぐい液を使う抗原検査の簡易診断キット(5月13日、保険適用)は、症状が出て2日目から9日目以内であれば、感染していること(陽性)の診断だけでなく、感染していないこと(陰性)の判定としても使えるようになりました。ただし、症状が出た日・10日目以降で陰性の結果が出た方は、追加でPCR検査が必要になります。また、無症状の方では、正確にウイルスを検出できないため、使えません。 

さらに、新たに抗原検査の試薬の一つが国による承認を受け(6月19日)、保険適用されました(6月25日)。この試薬を用いた「抗原定量検査」では、鼻やのどの奥のぬぐい液だけでなく、唾液も使えます。簡易診断キットを使った抗原検査よりも、感度が高く、PCR検査と同じくらいの正確さで、感染しているかどうかを調べることができます。ただし、簡易診断キットとは異なり、専用の測定機器を使う必要があります。7月17日に、PCR検査と同様、無症状の方も唾液での実施が認められました

PCR検査と抗原検査は、それぞれの特徴を生かし、組み合わせて活用が期待されています。

③:抗体検査
抗体検査については、5月19日の記事で概要をお伝えしましたが、現時点で、国から承認を受けた抗体検査キットはありません。今のところ、地域の感染状況を把握するために、どのくらいの方が新型コロナの抗体を持っているのかの調査や、抗体が実際にどれくらい新型コロナの感染を防止する機能をもつのか調べる試験が進められています(厚生労働省 7月14日「新型コロナウイルス感染症に関する検査について ▼抗体検査について」)。
検査キットの正確さにはばらつきもあるので、引き続き、調査や試験の結果を見守りましょう

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<参考>
■厚生労働省 「唾液を用いたPCR検査の導入について」(6月2日)
■厚生労働省 「SARS-CoV-2抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」(6月16日)
■厚生労働省 「新型コロナウイルス抗原定量検査の取扱いについて」(6月25日)
■厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症に関する検査について ▼抗体検査について」(7月14日)
■厚生労働省 「無症状者の唾液を用いたPCR検査等について」参考(7月17日)
■新型コロナウイルス感染症対策分科会(第1回) 資料3 「新型コロナウイルス感染症対策の現状と課題」(7月6日)

退院、軽症者の復帰の目安について

新型コロナで入院された方の退院の目安が、14日間から10日間に変更されました(6月12日付 事務連絡 )。また、退院時の検査として、PCR検査に加えて、抗原定量検査も使われることになりました(6月25日付 事務連絡 )。 

<退院の目安:以下のいずれかを満たす場合>
発症してから10日間経ち、かつ症状が軽快して72時間経った場合
・発症してから10日間経たず症状が軽快した方で、24時間以上の時間をあけて、2回のPCR検査または抗原定量検査で陰性と確認された場合

軽症と判断され、宿泊施設や自宅などで療養をしていた方の、復帰の目安も、上記と同様です(6月25日付 事務連絡 )。

熱中症対策も忘れずに!

気温や湿度も上がり、熱中症に注意が必要な時期になってきました。

マスクの着用は、基本的な感染予防対策に含まれます。しかし、高温や多湿の環境では、熱中症のリスクが高まります。屋外で人と2メートルの距離がとれる場合は、マスクをはずしましょう。また、マスクをつけている際には、激しい運動を避け、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給してください。(厚生労働省「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイント

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スポーツ庁は、学校の体育の授業では、運動時のマスクの着用について、以下のリスクを注意喚起しています。
・十分な呼吸ができなくなる 
・熱中症のリスクが高まる 

児童生徒の距離が十分にとれれば、運動時にマスクをつける必要は、ありません見学させる際にも熱中症に気を付けて、適宜マスクをはずすよう、求めています(スポーツ庁 5月21日付 都道府県・指定都市の担当課向け事務連絡)。

高齢の方、お子さん、基礎疾患や障害をお持ちの方は、とくに熱中症に注意が必要です。それ以外の方も、少しでも体調がすぐれない場合は、涼しい場所に移動する、無理せずに休むことを心がけてください。

環境省と厚生労働省が、熱中症予防と新型コロナ感染防止のポイントに関するリーフレット(6月付)を作成していますので、参考にしてください。

<参考>
■スポーツ庁 「新型コロナウイルス感染対策 スポーツ・運動の留意点と、運動事例について」 (6月23日)
■新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症診療に関するワーキンググループ 日本救急医学会・日本臨床救急医学会・日本感染症学会・日本呼吸器学会 「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」(6月1日)
■環境省「夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン 2020」 (3月)

体調の変化にすぐ気づけるように、体温を測定するなど健康状態をチェックする、少しでも体調がすぐれないと感じたら、無理せずに休むことも大切です。日常生活の中で感染防止対策を続けながら、熱中症に気を付けて過ごしましょう。 

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