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専門家からのメッセージ

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2020年4月の記事一覧

新型コロナの治療薬の注意点は?

今日は「治療薬の開発等について」お話しします。これは、専門家会議による4月22日付の提言で、私(有志の会、大曲貴夫)が、もっとも大事だと思うポイントです。 いまのところ、コロナには有効な治療薬がありません。それはどういうことなのか。「みなさんに誤解なく理解してもらいたいこと」を、お話します。 コロナ治療薬について知るべきポイント ・治療薬は、既存の薬を例外的に使用している ・あわせて治療薬の研究を進めている ・やみくもにサプリや薬を試すのは「危険」 ・治療法は主治医とよく

濃厚接触者の定義から私たちが学ぶこと

専門家有志の会の和田です。 「濃厚接触者」の定義が、新たに「患者さんがコロナが疑われる症状を示した日の2日前から、患者さんとの距離が1m以内で、マスクなどで口元が覆われていない状態で15分以上会話した人」と変わります。 言い換えると、「1m以内」「マスクなし」「15分以上会話」した相手が、2日以内にコロナの症状を示したら…あなたも濃厚接触者です。 「濃厚接触者」とは、保健所が健康観察の対象とする人のことです。その定義が4月20日付けで変更されました。 この記事では、その

ゴールデンウィークが明けたら、コロナとの戦いは終わるの?

専門家有志の会の和田耕治です。 2020年4月7日に政府が示した緊急事態措置の期間は、5月6日までとしています。しかし、残念ながら、この5月6日という日付を迎えたとしても、コロナとの戦いが終わるわけではありません。そのため、中長期的にこのウイルスとつきあうための心構えをもっていただくことが大切です。 この記事では、5月6日以降の見通しについて、現在考えられることをお伝えします。 世界の国々では、都市を封鎖し、外出に対して罰則を適用するほどの強い行動制限を行うことで、今回

「人との接触」ってどうやって数えればいいの?

専門家有志の会の西浦です。 日本では、コロナの流行を収束に向かわせるために、社会全体で、人と人との接触を8割減らすことが必要です。 でも、自分の生活に置き換えたとき、「人と人との接触」の分量をどのように理解すればいいのか迷いますよね。 今回、この記事では、「1接触」の定義と数え方について解説します。 # 感染時に備えよう # 戦う相手は人ではなくウイルス # 3密回避と接触8割減と外出1回 実は、学問的にみても、「人と人との接触(社会的接触)」の定義は様々です。次

新型コロナウイルスに関するご質問にお答えします(病原性とワクチン)

専門家有志の会の河岡です。 本日は、最近よくお尋ねいただくウイルスに関するご質問にお答えします。 Q 新型コロナウイルスの病原性は強くなっていますか?最近、重症化する患者が増えており、ウイルスの病原性(ウイルスが病気を引き起こす能力)が強くなっているのではないかというご心配があるようです。 結論から言いますと、まだわかっていません。 このウイルスは中国の武漢で、おそらくはコウモリから人に伝播したのが発端です(コウモリから人に伝播する過程で、別の動物が関与していたかどうか

全世代の皆様へ

独立行政法人地域医療機能推進機構の尾身茂です。政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の専門家会議(以下、専門家会議)の副座長を拝命しております。専門家会議では、新型コロナウイルス(以下、コロナ)の対策について、仲間たちと共に、医学的な見地から政府へ助言等を行っております。 なおこのウェブサイトは、「新型コロナウイルス感染症に関する専門家の有志の会」(以下、有志の会)で運営されており、専門家会議として情報を発信するものではありません。 初めに皆様にお伝えしなければならないの