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新型コロナウイルスに関するご質問にお答えします(病原性とワクチン)

専門家有志の会の河岡です。
本日は、最近よくお尋ねいただくウイルスに関するご質問にお答えします。

Q 新型コロナウイルスの病原性は強くなっていますか?

最近、重症化する患者が増えており、ウイルスの病原性(ウイルスが病気を引き起こす能力)が強くなっているのではないかというご心配があるようです。

結論から言いますと、まだわかっていません。

このウイルスは中国の武漢で、おそらくはコウモリから人に伝播したのが発端です(コウモリから人に伝播する過程で、別の動物が関与していたかどうかは不明です)。その後、ウイルスは中国全土、ならびに世界中に広がりました。

ヨーロッパ諸国やアメリカでは多くの人が感染し、亡くなっています。しかし、感染者数や死亡者数だけで、ウイルスの病原性が強くなっている(強毒化している)あるいは感染性が高まっているとは言えません。

何故かというと、感染者数や死亡者数は、それぞれの国・地域によって、そこの流行対策や高齢者の割合(新型コロナウイルスは高齢者の死亡率が高い)に影響されるからです。

ウイルスの感染性が高まっているか、強毒化しているかどうかは、動物をつかった実験で、同じ条件で異なるウイルスを比較して初めて明らかになります。今後の研究を期待しています。

Q ワクチンはいつできますか?

「人に有効なワクチンができる」ということと、多くの人がワクチンを受けて、新型コロナウイルスに抵抗性(病気にかかりにくくなること)になるというのは、必ずしも一致しません。

アメリカでは、試作されたワクチンを既に人に接種しており、近々その有効性(新型コロナウイルスに対する抗体ができるかどうか)が発表されると思います。だからといって、多くの人がすぐにワクチンを受けることができるわけではありません。当然、多くの人にワクチンを接種するには、それだけの多くのワクチンを製造する必要があり、それには時間がかかるからです。

また、通常は、ワクチンの安全性を動物で調べ、次に人で安全性ならびに有効性を確認した後になって初めて、多くの人がワクチンの接種を受けることができるようになります。

ワクチンの安全性の確認は、とても重要です。1977年にアメリカでブタ由来のインフルエンザが流行しかけた時に、直ちにワクチンが製造され、かなりの数の人がワクチンを受けたのですが、一定の割合で「ギラン・バレー症候群」という病気になってしまう人がいました。

従って、ワクチンの開発は慎重に行う必要があること、そして、多くの人に接種するためのワクチンを製造する時間と考えると、2021年の冬に間に合うかどうかは、ギリギリという感じです。

だからこそ、いまできることは、このウイルスの感染予防策を身につけ、それを徹底することです。

これからも、コロナウイルスに対するワクチン開発のニュースが繰り返されるでしょう。世界中の研究者の努力で開発は進んでいますが、いまどの程度の進み具合なのか、期待をしつつも、ぬか喜びしないよう、冷静に状況を見極めていただきたいところです。

一人ひとりの意識を高めて、このウイルスと戦っていきましょう。
クラスター対策に関する詳しい情報は厚生労働省の新型コロナクラスター対策専門家( @ClusterJapan) へ。
政府の新型コロナに関する対策の詳しい指標・情報は内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」のウェブサイト へ。