新型コロナの陰性証明はできません!
あなたは、職場から新型コロナ検査結果の提出を求められたり、周りの人からそのような体験談を聞いたことはありませんか?
最近、職場から新型コロナ陰性の証明書を求められて困っている方の声を耳にします。そこで、この記事では、働く皆さんにご理解いただきたいポイントをお伝えします。
「PCR検査」について知っておいてほしいこと
PCR検査、希望すれば受けられる?
新型コロナのPCR検査は、医師や自治体が必要と判断した場合に実施しています。 その指示がない方に対しては、事業者や従業員が依頼しても、検査できません。
PCR検査は、「100%」ではない
そもそも、PCR検査は、新型コロナの感染者を100%正確に「陽性」と判定することはできません。
感染していても、次のような場合は陰性と判定されることがあるからです。
・体内のウィルス量が少なかったとき
・検体の採取がうまくいかなかったとき
検査は検体を採取した時点のウィルス量をもとに判定しています。 採取した時点のウィルス量が少なくて検出できない可能性もありますし、検査結果を待っている間に感染する可能性もあります。
その場合、検査結果は陰性でも、本当は感染していることになります。
ちなみに、インフルエンザにかかった後、出勤する際に治癒証明書の提出を求める職場もあり、「新型コロナでも証明書が必要?」と考えている方もいるかもしれません。しかし、インフルエンザに対して厚生労働省は、職場が従業員に対して治癒証明書の提出を求めないよう示しています。その理由は、インフルエンザの陰性の証明は難しいことや、医療機関に負担をかける可能性があるためです。
管理職の皆さんに知ってほしい4つのポイント
1.休める体制作りを
保育所や介護施設などでは、利用者の安心・安全のために、従業員に「陰性の証明を出してほしい!」と思うこともあるかもしれません。でも、「誰もが感染しているかも」「誰もが気づかないうちに感染させているかも」と考えることが大切です。体調不良の従業員は、働かせず、休ませてあげてください。それが職場での感染拡大防止につながります。
2.「陰性の証明」の提出を従業員に求めない
医療機関や保健所は、医師や保健師が必要と判断した患者さんの対応をする場所です。従業員が「陰性の証明」のために相談・受診すると、本当に必要な患者さんを待たせ、利用できなくさせてしまいます。
3.自宅で受けられる検査キットの精度は不十分
世界各国で、簡易的な検査キットが販売され、日本でも宣伝されるようになりました。 しかし、現時点では、病院で受けるPCR検査と同じくらいの精度での結果は得られません。また、かかりつけ医は検査キットの質には責任をもてないので、相談をしても十分に対応することは難しいです。
4.発熱や風邪症状があった人の職場復帰の目安
では、体調不良があった方の職場復帰は、どう判断すればいいでしょうか?
日本産業衛生学会が目安を公表していますので、ぜひ参考にしてください。
発熱や風邪の症状があったものの、新型コロナと診断されなかった(PCR検査が陰性、医療機関を受診しなかった場合を含む)人で、自然に解熱、症状が軽減した場合には、次の2つを両方とも満たすことが職場復帰の目安となります。
1)発症後に少なくとも8日が経過している
2)薬剤*を服用していない状態で、解熱後および症状**消失後に少なくても3日が経過している
*解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤
**咳・咽頭痛・息切れ・全身倦怠感・下痢など
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職場での感染拡大防止策のまとめ
職場では、どのような対策を取ればよいでしょうか。皆さんにお願いしたいのは、次の点です(日本産業衛生学会 2020年4月20日付資料より)。
・体調不良の従業員にはしっかり休んでもらう
・手洗いや手指衛生の機会を増やす
・ドアノブや手すり、共用物品をこまめに消毒する
・「3密」の揃う場所(例:喫煙所)などをなくす
・マスクなど口元を覆うマナーを徹底し、できるだけ距離を置いて会話する
・テレワークや時差出勤を取り入れ
従業員の皆さんへ
体調不良のときは、家で休みましょう。
「感染していない」という証明はできません。証明を求めて労力を割く必要もありません。
体調不良の場合は、外出を控え、家で安静に過ごしましょう。 新型コロナではなく、インフルエンザなど他の病気の可能性もあります。
体調不良が続く方は、帰国者・接触者相談センター に相談しましょう。 相談・受診の目安については、先日の記事をご覧ください。
最後に
新型コロナの影響で、不安な日々をお過ごしのことと思います。
そんな中で、医療、介護、製造業、流通、スーパー・コンビニなどで、私たちの生活を支える仕事をされている方々には、心より感謝申し上げます。
みんなで感染拡大を防止して、社会全体で新型コロナの収束を目指しましょう。
クラスター対策に関する詳しい情報は厚生労働省の新型コロナクラスター対策専門家( @ClusterJapan) へ。
感染拡大を防ぐために役立つ動画をはじめ、政府や自治体による助成金・支援金制度の詳しい情報は内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」のウェブサイト へ。